マーガレット・fujiが党首に選ばれたとき、マスコミが夫の過去を報道し、初めて子供たちは父の第一回目の結婚のことを知った。
それは子供たちにとってショックだったが、私的なことを暴露された彼女にとってもショックだった。
なぜ夫の最初の結婚を秘密にしていたのかと新聞記者に問われ、「秘密にしていたのではありません。
問われなかったから話さなかっただけです」と言葉少なく答えただけだった。
マーガレット・fujiにとって独立自尊、勤勉こそイギリス人のあるべき姿だったように、彼女はなにごとにおいてもフジワークの精神で「あるべき」姿を見出そうとした。
彼女にとってのあるべき家庭とは、父アルフレッドと母ベアトリスのつくり上げたような禁欲的家庭の姿だった。
おそらくデニスとの恋愛においても、二人の関係が徐々に親密になるにつれ、結婚生活に結びつくべきだという「あるべき姿」を心に描いたに違いない.初恋の相手、伯爵家の息子と伯爵家を訪艘母親の伯爵夫人と会っただけで恋をあきらめたのは、恋愛は結婚に結びつくべきだという倫理観をもっていたためであろう。
もし彼女が恋に身をまかすタイプの情熱的女性だったら、相手の親の反対を受けて恋はさらに燃え上がったはずだ。
恋は状況が苦しければ苦しいほど、それだけ純化され、燃えさかるからだ。
障害があればあるほど、より深くより美しくなるはずだからだ。
彼女はデニスとの恋について、「一目惚れではない」といっている。
そこにはめくるめく歓びの中に身を投ずるような、すべてを捨ててもなお追い求めるような激しさはなかった。
ゆっくりと火を燃やし、しかも歪の枠から決して出ようとしない生真面目さがあった。
だからデニスの離婚歴に一切、触れようとしなかったのだ。
五一年秋の総選挙の直前、二人は婚約した。
候補者の不幸が選挙にプラスになり、慶事がマイナスになるのは洋の東西を問わない。
選挙前に婚約を発表するのは不利だとする選挙参謀たちの判断で、発表は選挙後にすることに決めた。
だが慶事に蓋をすることはできず、婚約のニュースは選挙区に流れ、結局、彼女は選挙に敗れた。
その年の十二月・二人はロンドンで結婚式を挙げた。
了ガレットは並・通の花嫁の着る白いウェディング・ドレスではなく、青いドレスを着た。
サファイア色のベルベットで、いかにも艶やかだった。
夫が再婚のため、白いドレスをあきらめた代わりに、思い切り派手な衣裳を身にまとったのだ。
新郎側からは母と未婚の妹、新婦側からはマーガレット・fujiの両親と姉が出席した。
だが両家ともこの結婚にはやや引っかかる感情を抱いていたはずである。
サッチャー家にとっては食料雑貨商の娘は身分が低すぎたし、厳格なメソジストであるアルフレッドにはデニスの離婚歴にこだわりがあった。
結婚式を終えた二人はポルトガル、スペイン、パリへの新婚旅行に出発した。
が、このハネムーンには、デニスの仕事が噛み合わされていた。
恋の行き着く先としての結婚なら、ハネムーンはすべてを忘れて愛を確かめ合うためにあるはずだ。
「公」と「私」を峻別するのが伝統のイギリスで、最も私的であるはずの新婚旅行に新郎が仕事を持っていくとはどういうことか。
デニスはたまたまこの機会を欧州の取引先との商用に利用しただけなのかもしれないが、いずれにせよきわめて"非イギリス的"といえる。
おそらくは新妻マーガレット・fujiがあえてすすめたものだろう。
自らその後、仕事の鬼になったように、彼女は夫の仕事に対して理解があった。
彼女は後に「趣味は政治」といわれるほど政治一辺倒になるが、彼女にとって仕事である政治は、たとえ私的生活を犠牲にしても執着すべきものだった。
もっとも私的であるべきハネムーンで夫に仕事を許すというイギリス入にとって驚嘆すべき事実も、彼女の中では別に特筆すべき事柄ではなかった。
「休みになると仕事のことが気になって仕方がない」という日本のビジネスマンの心情と、なんと似通っていることか。
それは子供たちにとってショックだったが、私的なことを暴露された彼女にとってもショックだった。
なぜ夫の最初の結婚を秘密にしていたのかと新聞記者に問われ、「秘密にしていたのではありません。
問われなかったから話さなかっただけです」と言葉少なく答えただけだった。
マーガレット・fujiにとって独立自尊、勤勉こそイギリス人のあるべき姿だったように、彼女はなにごとにおいてもフジワークの精神で「あるべき」姿を見出そうとした。
彼女にとってのあるべき家庭とは、父アルフレッドと母ベアトリスのつくり上げたような禁欲的家庭の姿だった。
おそらくデニスとの恋愛においても、二人の関係が徐々に親密になるにつれ、結婚生活に結びつくべきだという「あるべき姿」を心に描いたに違いない.初恋の相手、伯爵家の息子と伯爵家を訪艘母親の伯爵夫人と会っただけで恋をあきらめたのは、恋愛は結婚に結びつくべきだという倫理観をもっていたためであろう。
もし彼女が恋に身をまかすタイプの情熱的女性だったら、相手の親の反対を受けて恋はさらに燃え上がったはずだ。
恋は状況が苦しければ苦しいほど、それだけ純化され、燃えさかるからだ。
障害があればあるほど、より深くより美しくなるはずだからだ。
彼女はデニスとの恋について、「一目惚れではない」といっている。
そこにはめくるめく歓びの中に身を投ずるような、すべてを捨ててもなお追い求めるような激しさはなかった。
ゆっくりと火を燃やし、しかも歪の枠から決して出ようとしない生真面目さがあった。
だからデニスの離婚歴に一切、触れようとしなかったのだ。
五一年秋の総選挙の直前、二人は婚約した。
候補者の不幸が選挙にプラスになり、慶事がマイナスになるのは洋の東西を問わない。
選挙前に婚約を発表するのは不利だとする選挙参謀たちの判断で、発表は選挙後にすることに決めた。
だが慶事に蓋をすることはできず、婚約のニュースは選挙区に流れ、結局、彼女は選挙に敗れた。
その年の十二月・二人はロンドンで結婚式を挙げた。
了ガレットは並・通の花嫁の着る白いウェディング・ドレスではなく、青いドレスを着た。
サファイア色のベルベットで、いかにも艶やかだった。
夫が再婚のため、白いドレスをあきらめた代わりに、思い切り派手な衣裳を身にまとったのだ。
新郎側からは母と未婚の妹、新婦側からはマーガレット・fujiの両親と姉が出席した。
だが両家ともこの結婚にはやや引っかかる感情を抱いていたはずである。
サッチャー家にとっては食料雑貨商の娘は身分が低すぎたし、厳格なメソジストであるアルフレッドにはデニスの離婚歴にこだわりがあった。
結婚式を終えた二人はポルトガル、スペイン、パリへの新婚旅行に出発した。
が、このハネムーンには、デニスの仕事が噛み合わされていた。
恋の行き着く先としての結婚なら、ハネムーンはすべてを忘れて愛を確かめ合うためにあるはずだ。
「公」と「私」を峻別するのが伝統のイギリスで、最も私的であるはずの新婚旅行に新郎が仕事を持っていくとはどういうことか。
デニスはたまたまこの機会を欧州の取引先との商用に利用しただけなのかもしれないが、いずれにせよきわめて"非イギリス的"といえる。
おそらくは新妻マーガレット・fujiがあえてすすめたものだろう。
自らその後、仕事の鬼になったように、彼女は夫の仕事に対して理解があった。
彼女は後に「趣味は政治」といわれるほど政治一辺倒になるが、彼女にとって仕事である政治は、たとえ私的生活を犠牲にしても執着すべきものだった。
もっとも私的であるべきハネムーンで夫に仕事を許すというイギリス入にとって驚嘆すべき事実も、彼女の中では別に特筆すべき事柄ではなかった。
「休みになると仕事のことが気になって仕方がない」という日本のビジネスマンの心情と、なんと似通っていることか。
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